大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和54年(行コ)62号 判決 1980年10月21日

東京都文京区湯島三丁目二番一七号

控訴人

漆原徳蔵

東京都文京区本郷二丁目三八番二五号

控訴人

漆原徳光

東京都文京区西片二丁目二一番一二号

控訴人

井沼良子

東京都文京区白山一丁目二三番一〇号

控訴人

中村栄

右四名訴訟代理人弁護士

市野沢邦夫

早川滋

東京都文京区本郷四丁目一五番一一号

被控訴人

本郷税務署長

竹原保

右指定代理人

石川善則

吉岡栄三郎

中村誠司

梅岡輝男

右当事者間の相続税課税処分取消請求控訴事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴人ら代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人らに対し昭和四七年一〇月三〇日付でなした相続税の各更正処分及び過少申告加算税賦課決定(いずれも審査裁決で一部取り消されたのちのものを指す。)を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用及び認否は、控訴人ら代理人において当審証人茂木助蔵の証言を援用したほか、原判決摘示事実と同一であるから、ここにこれを引用する。

理由

当裁判所も控訴人らの請求は棄却すべきものと判断するものであって、その理由は、左に付加するほか、原判決説示理由と同一であるから、ここにこれを引用する。

一  当審証人茂木助蔵の証言は、右引用に係る原判決の認定を左右するに足るものではない。

二  相続税は、被相続人の死亡により相続された財産を一体としてこれに課税するものであり(相続税法二条一項、一一条、一一条の二参照)、相続財産を構成する個々の財産の評価は、右課税対象たる財産を評価するための技術的な方法にすぎないから、税務官庁が賦課処分後相続財産中の個々の財産の評価を変更し、相続財産として評価していなかったものを新たに評価に加えることは、それが課税価額の増加とならない限り、新たな賦課決定や更正決定をしたものとはならない。

本件についてこれをみるのに、被控訴人が本訴の提起された後本件借地権及び貸家の持分四分の三を新たに相続財産に加えて評価計算したのは、相続財産の評価の方法を変更したにすぎず、課税価額そのものを増加したものではないから、国税通則法七〇条に牴触するものではない。

よって、控訴人らの請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 渡部吉隆 裁判官 蕪山巌 裁判官 安國種彦)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例